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MBAとキャリア 前編 (VC/ ベンチャーキャピタルインターン)

2024卒の山崎です。今回は「MBAとキャリア」をテーマにブログ記事を書こうと思います!MBA生活を送る中で、卒業後のキャリアビジョンは変化して当然と考えています。

 

私はColumbia Business Schoolを卒業後、今年3月にスイングバイIPOを果たしたソラコムというスタートアップにジョインすることを決めました。MBA前、大学に提出したエッセイに書いていた内容から変化した、その一例・変遷ということで、私自身の体験について書いて行こうと思います。私のキャリアについては、以下の通りです。

  • Pre MBA: 投資銀行・IPO Division
  • Pre MBA & In Semester Intern: 東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)
  • In Semester & Summer Intern: グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)
  • Post MBA: 株式会社ソラコム・経営企画室 Chief of Staff

この記事ではまず、ベンチャーキャピタルでの海外MBA生向けサマーインターンシップにフォーカスしていきます。

 

海外MBA生をサマーインターンとして募集をしている日本の主なVCは、私達の頃(Class of 2024)は、UTEC、GCP、DNX Venturesの3社でした。これら3社がMBAに行く前にMBA壮行会等のイベントを開催し、海外MBA生との接点を早期に持っています。

 

Class of 2025からは、DCMが加わりましたし、 一部Coral Capital、DG Daiwa Ventures等もMBAのインターンを募集する動きをし始めているため、今後はもう少し機会も増えてくるかもしれません。また、ANRIやBeyond Nextも2023年夏に募集していたタイミングがありましたので、こちらも対象に入ってくる可能性があります。後は個人的な関係性ベースの正式プロセス外で機会を探していくことになるのだと思います。

 

私がMBAを志した理由として大きかったのは、日本のスタートアップエコシステムに貢献したいという想いでした。内閣府の資料(「世界に伍するスタートアップ・エコシステム形成に向けて」)において、New YorkとTokyoのスタートアップエコシステムの比較が為されているように、国内外の都市型のスタートアップエコシステムに興味を抱いた私は、West Coastではなく、New Yorkに位置するColumbia UniversityにてMBAを取得することを志向しました。

 

スタートアップエコシステムのプレイヤーは多様です。私が前職勤めていた投資銀行は勿論、事業の担い手たる起業家・スタートアップをはじめ、政府、ベンチャーキャピタル、アクセラレーター、東京証券取引所に至るまで数多く存在します。私自身、前職は投資銀行でIPO支援に関わっていたため、少なからずスタートアップとの接点はあったものの、具体的にプレイヤーが何をしているか、という事実については解像度が低いままでした。自分自身の視野を広めるために志したのが、VCでのインターンシップであり、私は上記の通り、幸運にも、UTECとGCPの2社にインターンシップを通じて関わる機会をいただきました。

 

インターンシップの機会を得るまでの動きという意味でいいますと、スタートアップへの興味関心は前提とし、一番重要なのはネットワーキングになるかと思います。一口にVCと言いましても、成り立ちによって投資フィロソフィー、投資戦略は勿論、組織カルチャーもかなり異なります。「ベンチャーキャピタリストは起業家から選ばれる立場」であることを念頭に置くと、インターンをしたいVCのキャピタリストに記憶して貰い、少しでも顔を覚えて貰う努力をすることは業務に直結する部分ではないかと感じています。

 

① 他の候補者がいる中でベンチャーキャピタリスト(パートナー)に顔を覚えて貰うためのネットワーキングに係る努力、② 興味関心のある領域を元にした投資仮説、③ 自分自身の専門性の言語化(どのように投資先であるスタートアップに貢献/VC内で知識・経験を還元できるか)の3点を確りと準備すれば、VCでインターンシップの機会を得ることができる可能性はかなり上がるのではないかと思います。

 

VCでのインターンシップ自体は凄く楽しい日々でしたし、勉強になる部分も数多くあったと感じています。一方、以下のような気づきを得ることができました。これらの気付きは、私自身がVCではなく、スタートアップにキャリアの方向性を変更するきっかけとなりました。

 

【海外MBA卒というユニークネス・ブランディングについて】

  1. 前述した通り、VCは起業家から選ばれる立場もあります。起業家から選ばれるにおいてはパーソナリティは勿論、キャピタリストとしての経験、専門性、そして業界内におけるブランディングは至極重要です。社内におけるブランディング(投資専門領域の色付け)、社外におけるブランディングの双方に取り組む必要があります
  2. 海外MBA卒、プロフェッショナルファーム(投資銀行やコンサルティングファーム)卒業生という肩書自体は、現在日本のベンチャーキャピタリストの多くが保有しているため、それを持って差別化要素にはならないと、改めて感じました

 

【どのようにGP(General Partner)を目指すか】

  1. 個人的に、ベンチャーキャピタリストがEntrepreneur Behind Entrepreneurであるとするならば、自分の資金すらもファンドに投資し、起業家に少しでも近いマインドセットを持つことは重要であると感じています。そのため、どのようにGPになるキャピタリストに成長するかについて考えること、はMBAインターンを開始する上でのテーマでもありました
  2. その観点からすると、例えば、VCにMBA後直ぐにジョインしたとして、恐らくポジションはシニアアソシエイト or プリンシパルになるかと思います。既にパートナー(GP)が数名いるとして、ファンドレイズのタイミング、そして自分自身の立ち位置(同世代、乃至、次世代のレイヤーに何名、どのようなキャピタリストがいるのか)によって、GPを目指す上でのタイムラインは変わってくるかと思います。(独立すればその限りではないです)
  3. GPになることが全てではありませんが、起業家に相対する上での覚悟という観点と、投資委員会における一票を持っているいない、でキャピタリストとしての想いや自由度のようなものは、変わってくるのではないかと推察していました
  4. また、別の角度からの論点となりますが、報酬・成果の観点も家族がいる場合は重要です。特に私費の場合、既にデットを背負っているケースも多いかと思います。IM、PE(Buyout Fund)とVCが大きくことなるのは、成果がでるまでのタイムラインが長く、定量評価がし難いことにあります。IM、PEであれば、MBA後にジョインした際、キャリーを含め、数千万円の報酬を数年以内に受け取ることも可能かと思います。一方、VCの場合、投資後、アーリーの場合は成果を出るまでに5-7年の時間を要しますし、その際、自分自身の案件というよりはパートナーの案件をサポートする形で検討させて貰うということになるかと思います。つまり、それまではどちらかというと定性面でVC内における評価が為されプロモーションが決まっていきます。更に、パートナーになるにあたっては、更に追加で3-5年における、キャピタリストとして立ち上がった後の自力でのソーシング、バリューアップ、Exit実績、業界内の立ち位置・存在感が重要となってくると考えていました。

 

インターンを通じて上記の気付きを得た時、VCにジョインするよりも、グローバル市場で大きく名を轟かせるようなポテンシャルを持つスタートアップにジョインし、自分自身もこれまで携わって来なかったような領域でチャレンジをした方がエキサイティングなのではないか、と考え始めました。Data Driven Dollarsという授業にて教授が、「ベンチャーキャピタリストには一定の経験を得てからなるべきだ。MBA卒でジョインすることはお薦めしない」と言っていたことも脳裏によぎりました。

 

妻にも相談したところ、「あなたは幅広い人と働く機会を得た方が、もっとイキイキと働けるし、成長することができると思う。実務をもっと知るべき」というアドバイスも貰い、2023年秋(2年時)より、本格的にスタートアップで働くことを検討し始めました。 なお、CBS生活で学んだことについての簡単なサマリーは、以下となります。

 

 

後編に続きます

 

Class of 2024, 山崎